インフラや建物などの設備点検は大切です。ただし、高所など危険な場所を点検する、点検で大幅な時間と人手を要するとなると、適切な点検は案外難しいのではないでしょうか。

設備点検には、ドローンの導入がおすすめです。ここでは、ドローンによる設備点検が注目される理由や点検を実施するメリット、点検が可能な場所などをご紹介。ドローン設備点検の課題や、依頼する費用の相場なども取り上げます。安全に適格な設備点検ができるようご検討ください。

株式会社ピーシーハウスでは、空撮に加えさまざまな設備点検も実施します。設備点検に合った業務用ドローン機を提供いたしますので、お気軽にご相談ください。工場の屋根や太陽光パネル、煙突や橋梁など、自動航行による定期点検もお任せ下さい。

ドローンで設備点検はじめませんか?

ドローン設備点検が注目される理由

技術の躍進により、ドローンがさまざまな用途に利用されるようになりました。国土交通省による航空法の緩和も、ドローン設備点検を後押ししています。

理由1.技術の進歩

ドローンには、さまざまな技術が利用されています。遠隔操作のためには通信技術が必要です。ほかにも、高解像度な撮影技術、赤外線カメラなどによる映像解析技術、バッテリーの小型化や長寿命化、機体の小型化・軽量化などがドローンによる撮影・設備点検を可能にしました。

近年では、5G通信技術やAIを搭載したドローンなども一部で実用化されています。今後どんどん高性能なドローンができ、設備点検に応用されるでしょう。

理由2.国土交通省による航空法の緩和

ドローンの活用を推進する目的で、2021年に航空法施行規則が一部緩和されました。

「十分な強度を有する紐等(30m以下)で係留し、飛行可能な範囲内への第三者の立入管理等の措置を講じてドローン等を飛行させる場合は、以下の許可・承認を不要」

「煙突や鉄塔などの高層の構造物の周辺は、航空機の飛行が想定されないことから、地表又は水面から150m以上の空域であっても、当該構造物から30m以内の空域については、無人航空機の飛行禁止空域(航空法施行規則第236条第1項第5号)から除外すること」

老朽化するインフラなどの点検に向け、ドローンは大いに期待されています。インフラ以外にも、さまざまな場所の点検にドローンは活躍するでしょう。

引用:航空法施行規則の一部改正を実施しました!~ドローン等の飛行規制を一部緩和します!~?国土交通省

ドローン設備点検のメリット

ドローンによる設備点検のメリットを、以下の4つの観点から紹介します。

メリット1.点検費用の削減と効率化

ドローンを利用すると、足場を組む材料費や、点検にかかわる人件費を削減できます。また、点検にかかわる準備や、点検そのものにかかる時間を短縮できます。

国土交通省は、R238号美雪橋の橋梁点検において、点検手段ごとの費用や点検の所要日数を比較しています。

設備点検手段 ドローン 橋梁点検車 ロープアクセス
所要日数 約2日 約2日 約5日
費用 約50万円 約200万円 約85万円

引用:点検支援技術を活用した橋梁点検業務?国土交通省

メリット2.点検回数の最適化

点検費用の削減と時間短縮により、設備点検の回数を増やせます。適切な頻度で点検を行えれば、安全性を確保できます。また、完全に破損してしまうよりも、こまめにメンテナンスを実施した方が修繕費用を抑えることが可能です。

国内においてインフラの老朽化は深刻です。2012年の笹子トンネルの事件に見られるように、老朽化したインフラや設備をそのままにしておくと、やがて重大な事故に繋がってしまいます。安全と修繕費用の削減のため、ドローンを活用しましょう。

メリット3.安全性の向上

ドローンならば、労災のリスクを抑えて点検が可能です。高所や足場の悪い場所、高速道路など車の往来がある場所、高炉など温度が高い場所、危険な薬品やガスによる健康被害が懸念される場所など、危険な場所での設備点検は大変です。また、足場を組むなど予備的な作業でも、事故が発生するリスクは尽きません。

メリット4.点検精度の向上

ドローンは見落としなく撮影でき、点検者は安全な場所で映像をチェックできます。また、ドローンは高画質・高解像度のカメラを備えています。たとえば、太陽光パネルの点検では赤外線カメラが用いられ、色分けにより異常部分を表示するため、太陽光パネルの知識がない人でも異常を見つけられるでしょう。

一方、人による点検では、点検者の経験やスキルによっては異常を見逃す場合があります。加えて、一定のレベルにまで点検者のレベルを高めるためには時間がかかりがちです。点検精度の観点からも、ドローンの活用はメリットがあるといえます。

ドローン設備点検が可能な場所の一例

以下では、ドローン設備点検が可能な場所について、設備点検が必要な理由や、ドローンを使うメリットを紹介します。このほかにも、体育館・ホール・大型倉庫の内部などの調査・データ取得も可能です。

なお、ドローン撮影・点検の専門会社ごとに、使用可能な機種の性能は異なります。設備点検を外注する場合は、ドローンの種類により対応可能かどうか決めましょう。

場所1.太陽光パネル

太陽光パネルは日光や雨を遮るものない場所に設置されており、気候による経年劣化を受けやすい状態です。パネルが劣化すると発電効率が低下するため、速やかに点検により異常パネルを交換しなければなりません。また、風雨にさらされていれば、パネル以外の部分もダメージを受けやすいといえるでしょう。

太陽光パネルの点検には、上述した赤外線カメラを搭載したドローンが向いています。ドローンは上空から広範囲を瞬時にチェックし、効率よく異常部分を見つけ出します。異常パネルなどの交換・修理のみ、人の手で対応すれば良いでしょう。

場所2.鉄道・トンネル・道路など交通インフラ

交通インフラにとって、点検はなくてはならないものです。万が一事故が起きると、上述した笹子トンネルの事故のように大きな被害が発生します。大雨や台風の際も、安全点検を行い早急に復旧する必要があります。

交通インフラは日々使用されているため、点検を短時間で行わねばなりません。ドローンなら点検時間を短縮できるため、交通インフラの点検に適しています。すでに、JR東日本やJR九州、NEXCO西日本などではドローンによる設備点検が実施されています。なお、トンネル内は電波が入りません。電波が入らなくても飛行可能なドローンでなければ、設備点検ができないため注意しましょう。

場所3.橋梁

橋梁は風にさらされコンクリートが劣化しがちです。また、橋梁の点検は義務化されています。自治体に適格な人材がいない場合は、外部の点検業者に委託しましょう。

水上にある、照明設備があるとは限らないなど、橋梁は点検が難しいインフラです。特に、橋梁の裏側は点検が難しくなりがち。ドローンを活用して、安全に設備点検を行いましょう。

場所4.一般戸建ての屋根

瓦屋根・スレート屋根・金属屋根などさまざまな屋根材がありますが、いずれも劣化します。雨樋も劣化するリスクがあるため定期点検は欠かせません。点検をしないと、雨水が侵入したり、屋根材が通行人を直撃したりといった事態が発生する恐れがあります。

タブレットなどで情報を共有すれば、点検を依頼した人もリアルタイムに点検状況を確認でき安心です。また、デザイン上複雑な形状をしている屋根もあるものです。戸建てではそれほど高さは無いにしても、ドローンを使った方が安全に点検できるでしょう。

場所5.ビルの屋上・壁面など

一般家庭の屋根や外壁などと同様に、ビルも劣化します。ビルの基礎となるコンクリートと鉄は、水分により劣化しやすく、大がかりな損傷になれば工事費用がかさみます。点検によりこまめにメンテナンスをした方がよいでしょう。

ドローンにより、低コスト・短期間で設備点検を終わらせましょう。マンションは一般戸建てと比べて大きく、高さもあります。そのため、足場の費用がかさみ、準備から点検にかけて費用や日数もかかってしまうでしょう。また、ドローンで点検費用を抑えれば、マンションの修繕積立金も減らせる可能性があります。

場所6.工場やプラント・建設現場

工場やプラント・建設現場には、配管や煙突、タンクなど多くの設備があります。工場で生産するものにもよりますが、設備の劣化により大きなトラブルに繋がる場合があります。

設備点検における労災対策には、ドローンが適しています。工場やプラント・建設現場には、高所や足下が不安定な場所、有毒ガスが発生する恐れのある場所、巻き込み事故が懸念される場所などが多く見られます。特に、作業員の高齢化や人手不足が深刻な現場では、ドローンが活躍するでしょう。また、ドローンなら短時間で点検を終えるため、生産を停止させる時間もわずかで済みます。

場所7.下水道

下水道には汚水や雨水が流れ、川や海、処理施設へと通じています。下水道内に異物があると、下水が地上にあふれる恐れがあります。その上、亀裂が入っていると、地下水や土砂が下水道に侵入し、道路が陥没するかもしれません。

下水道には汚水が流れているため、長時間点検をしていると健康への影響が心配です。ドローンにより、効率的に作業を進めましょう。また、大雨など有事の際は水量が増えます。ドローンを使えば、点検者の安全が高まります。

PCHによるドローン設備点検の事例

【事例1】K様宅屋根点検の実施

点検当日の天候・風速・風向きなど入念にチェックを行い、安全が確認された上でK様宅のドローンによる屋根点検を実施しました。ドローンの利点は、作業員が屋根に上る必要なく、また足場を組む必要や高所作業車・道路誘導員など不要で道路を塞ぐことなく、安全に短時間で点検する事が可能です。

また、ドローンには高画質・高解像度のカメラを備えているので、屋根の細かい詳細な部分まで見落としなくチェックできます。従来の工法に比べ、ドローンなら作業員の目視による点検より見落とすことなく点検が可能です。<br>今回の点検作業で、数か所修理が必要な箇所を短時間で見つける事が出来ました。

【使用したドローン】DJI Mavic Mini

【事例2】赤外線カメラ搭載ドローンによるソーラーパネル点検

ソーラーパネルは、長期間安定した運用が求められますので、定期的な点検・メンテナンスが必要不可欠です。
日当たりのよい場所に雨風吹きさらしの中、ソーラーパネルが設置されていますので、劣悪な環境と言っても過言ではありません。山間部や平原など広範囲であっても上空からドローンを使えば、少ない人員・コスト・短時間で、比較的容易に点検する事が可能です。

今回の作業は、山間部にある比較的平坦な場所に設置されたソーラーパネルです。当日は、天候にも恵まれ、ドローンと赤外線カメラ(熱感知式カメラ)を使用し、飛行計画のもと点検を実施しました。

ドローンによるソーラーパネル点検は、GPSによる自動航行で行いますので、広大な土地であっても最短ルートで短時間での点検が可能です。ソーラーパネル点検の場合、ドローンと連動した専用ソフトを使用しますので、ソーラーパネルに異常が見つかれば色表示が異なる為、専門知識がなくても一目瞭然です。
今回の点検作業では、複数の異常が見つかり、後日修理・交換を行います。

【使用したドローン】DJI INSPIRE1 V2.0

【事例3】3本煙突点検補修前のゴンドラ点検及びガス濃度測定

某工場内の煙突補修を行う事前点検として、ゴンドラ用のワイヤーロープ・吊り具等の配置点検及びガス濃度測定にドローンを使用しました。非常に高所での作業となる上、通常の煙突とは違い3本に分かれた形状となっているため、作業前の入念な事前準備が必要です。 補修作業は、限られた時間内に作業を完了させる必要がありますので、ワイヤーロープや吊り具など正しい場所に設置・配置、ガス濃度が人体に影響がないかの数値測定など、問題点や他に異常がないか等ドローンにて確認を行いました。

点検・測定する煙突(イメージ)

GL+120m上空のガス濃度測定

ドローンに携帯型ガス検知器を搭載して、地上でオペレーターがガス濃度の確認と画像を記録しました。今回使用したドローン機「INSPIRE1 V2.0」は、2オペレーター(パイロット・カメラ)にて操縦・操作が可能な機体で、今回のような精度が求められる作業には最適で、十分な成果を収める事が出来ました。

上空121m ガス検知:0(地上オペモニター画面例)

【使用したドローン】DJI INSPIRE1 V2.0

ドローン設備点検の課題

ドローン設備点検には多くのメリットがあります。ただし、ドローンのみでは解決できない課題もあります。ドローンにできること、できないことを区分けして人の手が必要な部分に注力しましょう。また、選定するドローンの機種によっては、以下で解説する課題を解決できる場合もあります。

課題1.撮影しにくい場所がある

ドローンには、以下のように撮影しにくい場所があります。

  • 暗所
  • 狭所
  • トンネル内など電波が通りにくい場所

ドローンなら何でも良いわけではなく、目的に応じた機種を選びましょう。たとえば暗所なら、ライトを搭載した機種が向いています。狭所の撮影なら、ピーシーハウスが保有するDJI Mavic MiniやDJI Mavic Air2など手のひらサイズのドローンがおすすめ。また、障害物センサー付きのドローンも、狭所での撮影に役立ちます。

課題2.作業や打音検査はできない

ドローンは、撮影機能を利用した点検は得意です。ただし、部品の交換や修理、打音検査などは人の手で行う必要があります。

とはいえ、打音検査が可能なドローンは、すでに研究機関で開発が進んでいます。今後、ドローンで可能な作業・点検範囲は拡大していくかもしれません。

課題3.フライト時間が短め

ドローンのフライト時間は、長くても数十分程度です。内容によっては、調査途中で何回もバッテリーを交換しなければならず効率が悪い一面もあるでしょう。ちなみに、ピーシーハウスの保有するDJI Mavic Air2では、最大飛行時間が34分と比較的長めです。

なお、ドローン点検により点検作業そのものが効率化すれば、バッテリーの交換なしで点検が完了するケースもあります。

ドローン設備点検に必要な資格

2022年7月現在、航空法にもとづいた国家資格・免許の発行はありません。

ドローン設備点検に必要な資格

民間のドローン関連の資格には、スクールを受講するともらえる資格や修了証があります。資格や修了書をもらえると、「国土交通省への飛行許可・承認」に使用可能です。許可・承認を受けなければ、ドローンを飛ばせる場所が大幅に限られてしまいます。また、ドローンの操縦技術習得のためにも、資格取得は意味があるものといえるでしょう。

ドローン設備点検の費用の相場

ドローンの設備点検にかかる費用は、点検対象によって大きく異なります。専門会社によっても価格体系は異なるため、個別に問合せましょう。

ピーシーハウスでは、8万~25万円(税抜)の範囲でドローンによる撮影・設備点検に関するプランをご用意しております。必要に応じ、オリジナルのプランをご提案することも可能です。撮影場所が遠方の場合などは、別途出張料金が発生する場合もある点をご理解ください。

詳しくは、弊社の料金表にてご確認ください。

ドローン設備点検は専門会社におまかせ

ドローンを設備点検に利用すると、点検費用の削減と効率化、安全性の向上が見込めます。ただし、ドローンによる設備点検を実施する際は、相応の技術が必要です。技術の習得には時間がかり、国土交通省の申請の手間もかかります。

ドローンの設備点検は、専門会社に依頼してはいかがでしょうか。株式会社ピーシーハウスは、ドローンを使った設備点検や、撮影・ビデオ制作を実現します。和歌山県内では最大級のドローン保有数を誇り、設備点検の目的に応じて適した機種や撮影プランをご提案します。

ドローンの設備点検を導入する際は、株式会社ピーシーハウスにお気軽にお問い合わせください。

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